夏競馬の大きな特徴5つ!開催地となる6つの競馬場で走りやすい脚質も紹介
夏競馬にはどんな特徴があるのかな?
夏競馬が開催される競馬場の特徴は?
上半期のG1シーズンが終わると、中央4場の東京・中山・阪神・京都の芝を秋に向けて休ませるために、夏競馬がローカル競馬場で開催されます。
夏競馬という言葉を何度か聞いたことはあっても、どのような特徴があるのか知らない人もいることでしょう。
本記事では、夏競馬と開催地となる競馬場の特徴について詳しく解説していきます。夏競馬の攻略法についても紹介していますので、馬券を購入するときの参考にしてみてください!
夏競馬を楽しむために知っておきたい5つの特徴
夏競馬では、春競馬や秋競馬といったほかの季節とは異なる独自の要素があります。どのような特徴があるのかを確認していきましょう!
①G1に出走するような強い馬が出ない
夏競馬にはG1レースに出走するような、力のある馬はほとんど出ません。なぜなら、実力のある馬は秋のG1に向けての休息期間に入るからです。
そのため、夏競馬ではG2とG3がありますが、G1は1つもありません。
結果的に夏競馬に出走する馬の実力は拮抗し、どの馬が勝ってもおかしくないという状況になります。このように荒れるのが夏競馬の醍醐味といえるでしょう。
②6つのローカル競馬場で開催される
夏競馬の期間は、函館、札幌、福島、新潟、中京、小倉という6つのローカル競馬場でレースが開催されます。
その間、中央4場の東京、中山、阪神、京都ではレースが開催されません。レースを行わないことで芝の休息期間に入り、秋のレースに向けてコンディションを整える効果があります。
このように普段メインでない競馬場で開催されるため、それぞれの競馬場の特徴をしっかりと認識して馬券の購入に活かしましょう。
競馬場の特徴については後ほど詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
③新馬戦がスタートする
出典:JRA
夏競馬が開催される期間には、新馬戦が開催され、2歳馬が続々とデビューします。
新馬戦では過去のレースデータがないため、血統や調教、パドック、厩舎のコメントといった少ない情報から、どの馬を買うか決める必要があります。
そのため、競馬ファンでも馬の実力を見極めるのが難しく、本来の実力通りのオッズとならないことがあるのです。
このように予想が難しいため、競馬初心者は新馬戦で大勝負を仕掛けることはやめておきましょう。
④若手ジョッキーが躍動する
夏競馬ではトップジョッキーが集まる競馬場に偏りができるため、有力ジョッキーが手薄な競馬場が多くなります。
そのため、若手ジョッキーの勝利が多く見られるのが特徴です。
2022年の夏競馬の小倉リーディングジョッキーでは、2位に5年目の西村騎手、3位に1年目の今村騎手が入るなど、若手が活躍しました。
またCBC賞では今村騎手がテイエムスパーダで、中京記念では西村騎手がベレヌスで勝利し、重賞でも結果を残しています。
このような若手騎手の成長に注目してみると、さらに夏競馬の面白さが広がることでしょう。
⑤サマーシリーズが開催される
出典:JRA
夏競馬といえば、サマーシリーズも楽しみの一つです。
サマーシリーズとは、距離別にポイント制でチャンピオンを決めるシリーズのことで、以下のような4部門があります。
- サマースプリントシリーズ:芝の短距離重賞6つが対象
- サマー2000シリーズ:芝2000mの5つの重賞が対象
- サマーマイルシリーズ:芝1600mのリステッド競争1つと3つの重賞が対象
- サマージョッキーシリーズ:サマーシリーズ重賞の騎手の成績が対象
どの馬がチャンピオンになるのかを注目することで、より一層夏競馬を楽しめることでしょう。
今年のサマーシリーズの詳細について詳しく知りたい人は、こちらの記事で確認してみてください。
夏競馬が開催される6つの競馬場の特徴
夏競馬が開催される6つの競馬場の特徴について解説します。特徴からどのような馬が狙い目なのかを理解し、予想に活かしていきましょう!
②札幌競馬場
③福島競馬場
④新潟競馬場
⑤中京競馬場
⑥小倉競馬場
①函館競馬場
出典:JRA
回り方 | 右回り |
---|---|
一周距離(芝) | 1626.6m |
直線距離(芝) | 262.1m |
高低差(芝) | 3.5m |
一周距離(ダート) | 1475.8m |
直線距離(ダート) | 260.3m |
高低差(ダート) | 3.5m |
函館競馬場は、直線が芝で262.1m、ダート260.3mとJRAの全場の中でもっとも直線距離短い競馬場です。
直線が短いことから、逃げ馬や先行馬を買うのが基本スタンスとなるでしょう。
洋芝を採用しており水はけも悪いため、特に開催後半にはパワーを要求されるケースが増えてきます。また、馬場が荒れると外差しが決まるケースもあるので、馬場傾向の分析が重要です。
2022年の芝2000mの函館記念(G3)は重馬場で開催され、7番人気のハヤヤッコが勝利しました。
ハヤヤッコは長らくダートで走っていた馬で、母父は2001年の「JRA賞最優秀ダートホース」に輝いたクロフネです。
このように荒れた馬場であれば、より一層馬力のある馬は押さえておいた方がいいでしょう。
- 函館2歳ステークス
- 函館記念
②札幌競馬場
出典:JRA
回り方 | 右回り |
---|---|
一周距離(芝) | 1640.9m |
直線距離(芝) | 266.1m |
高低差(芝) | 0.7m |
一周距離(ダート) | 1487m |
直線距離(ダート) | 264.3m |
高低差(ダート) | 0.9m |
札幌競馬場も、函館競馬場と同様に全て洋芝を採用している競馬場です。
芝コースの高低差は0.7m、ダートは0.9mと高低差がほとんどない平坦な形状をしています。
コース全体は円に近い形をしており、コーナー部分の占める割合が大きいのが特徴です。直線は函館の次に短く、芝で266.1m、ダートで264.3mの距離となっています。
クイーンステークス(G3)が開催される芝1800mでは、逃げ・先行馬が有利です。最初のコーナーまでが185mしかなく、出遅れずに早めに内へつけられるかが鍵となります。
一方で、札幌記念の2000mでも基本的には先行が有利ですが、ペースが落ち着きすぎると差しや追い込みが決まることもあります。
基本的に逃げ・選考を主体として、メンバー次第では差しが決まることも考慮しておきましょう。
夏競馬で開催される重賞
- クイーンステークス
- エルムステークス
- 札幌記念
- キーンランドカップ
- 札幌2歳ステークス
③福島競馬場
出典:JRA
回り方 | 右回り |
---|---|
一周距離(芝) | 1600m |
直線距離(芝) | 292.0m |
高低差(芝) | 1.9m |
一周距離(ダート) | 1444.6m |
直線距離(ダート) | 295.7m |
高低差(ダート) | 2.1m |
福島競馬場は、芝の1周が1600mとJRA全場のなかでもっとも小さな競馬場です。
芝の高低差は1.9mとあまりありませんが、1周する間にアップダウンが2回繰り返すなどでこぼこしています。
基本的には前残りのケースが多く、芝2000mの七夕賞では2021年に7番人気のロザムールが2着、2019年は12番人気のロードヴァンドールが3着と逃げ・先行の穴馬が激走しました。
直線は292.0mと一般的な長さですが、夏競馬では梅雨の時期と重なるため雨で外差しが決まりやすくなることもあります。馬場状態を見極めることで、美味しい馬券を取れる可能性が高まることでしょう。
夏競馬で開催される重賞
- ラジオNIKKEI賞
- 七夕賞
④新潟競馬場
出典:JRA
回り方 | 左回り |
---|---|
一周距離(芝・内) | 1623m |
直線距離(芝・内) | 358.7m |
高低差(芝・内) | 0.8m |
一周距離(芝・外 ) | 2223m |
直線距離(芝・外) | 658.7m |
高低差(芝・外) | 2.2m |
一周距離(ダート) | 1472.5m |
直線距離(ダート) | 353.9m |
高低差(ダート) | 0.6m |
新潟競馬場は、長い直線があるスケールの大きい競馬場です。
芝は内回りコースと外回りコースがあり、外回りでは1周の距離が2223m、直線距離が658.7mとJRAでもっとも長く、東京競馬場よりも約130mも距離があります。
直線の末脚勝負になることが多く、基本的には差し馬が有利となるのが特徴です。
唯一の直線コースで「千直」と呼ばれる1,000mのレースもあり、G3のアイビスサマーダッシュは注目されています。
傷んでいない外枠が有利であり、外ラチへと馬が殺到する姿が印象的です。一箇所に集まることによって、少しでも出遅れれば前が詰まるため厳しい展開となるでしょう。
2022年は8枠の16番で7番人気のビリーバーが勝利し、残る8枠の2頭も2着、4着と掲示板内に入りました。
このように外枠が圧倒的に有利となる千直での枠順は、予想する上で非常に重要なポイントとなっています。
夏競馬で開催される重賞
- 新潟ジャンプステークス
- アイビスサマーダッシュ
- レパードステークス
- 関屋記念
- 新潟2歳ステークス
- 新潟記念
⑤中京競馬場
出典:JRA
回り方 | 右回り |
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一周距離(芝) | 1705.9m |
直線距離(芝) | 412.5m |
高低差(芝) | 3.5m |
一周距離(ダート) | 1530m |
直線距離(ダート) | 410.7m |
高低差(ダート) | 3.4m |
中京競馬場は、芝コースの高低差が3.5mと中山・京都に次ぐ起伏の多さが目立つ競馬場です。
直線には高低差約2mの急坂があり、夏競馬では梅雨で馬場が渋ることから、タフさが要求されるのが特徴といえます。
芝の直線の長さが412.5mとJRA10場で4番目と比較的長めですが、逃げ馬がそのまま残ることも多くなります。
芝1200mのハンデ重賞であるCBC賞では、2017年に逃げた8番人気のアクティブミノルが3着、2番手で追走した13番人気のセカンドテーブルが2着と波乱を起こしました。
中京で3年ぶりの開催となった2023年も逃げた7番人気のジャスパークローネが勝利し、2、3着も先行勢が独占しています。
このように、前残りのケースに注意しながら、穴馬を拾っていきましょう。
夏競馬で開催される重賞
- CBC賞
- プロキオンステークス
- 中京記念
⑥小倉競馬場
出典:JRA
回り方 | 右回り |
---|---|
一周距離(芝) | 1615.1m |
直線距離(芝) | 293m |
高低差(芝) | 3m |
一周距離(ダート) | 1445.4m |
直線距離(ダート) | 291.3m |
高低差(ダート) | 2.9m |
小倉競馬場は、芝の一周距離が1615.1mと福島に次ぐコンパクトな競馬場です。
全体の高低差は3mありますが、直線に坂はなく平坦で小回りなコースです。逃げ・先行勢が圧倒的に有利であり、差し・追い込みはあまり決まりません。
北九州記念が開催される芝1200mでは、直線距離が479mと長いため、前半から激しい先行争いとなり、ペースが速くなりやすい傾向があります。
3〜4コーナーのスパイラルカーブで膨れる馬も多いので、脚を消耗してしまい、前が崩れるというケースも出てくるでしょう。
2021年の北九州記念で馬券内を逃げ・先行が独占しましたが、2016年のバクシンテイオーや2019年のダイメイプリンセスのように中団から後ろの馬が走るケースも見られます。
基本的には逃げ・先行を狙いつつ、展開がはまれば差し馬が来ることも覚えておきましょう。
夏競馬で開催される重賞
- 小倉記念
- 北九州記念
- 小倉サマージャンプ
- 小倉2歳ステークス
G1がなくても面白い!夏競馬の楽しみ方
競馬ファンでもG1レースがないから夏競馬をやらないという人もいますが、夏競馬ならではの楽しみ方があるため、ぜひ挑戦してほしいものです。
夏競馬は主に以下のような楽しみ方があります。
- 穴馬狙いで高額配当を獲得する
- 将来有望な2歳馬を探す
- 3歳未勝利の馬の生き残りを応援する
- 若手騎手の成長を見守る
- ローカル競馬場ならではの食事・施設を楽しむ
荒れる夏競馬で馬券を的中できたときの喜びはひとしおでしょう。
また、的中できなくても2歳から将来のダービー馬を探したり、3歳未勝利で後がない馬を応援することで、より一層馬への愛情が深まります。
このように、G1だけの馬券を買っていたときよりも競馬をより好きになれますので、ぜひ夏競馬に挑戦してみましょう!
また、以下の記事で競馬場のグルメや遊びなども紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。
難しい夏競馬を当てるための3つの攻略法
夏競馬は出走馬の実力が拮抗し、6つもの競馬場の特徴を読み解く必要があるため、当てるのは難しいといわれています。
そんな荒れる夏競馬で的中するための攻略法を3つ解説します。
②牝馬を積極的に買ってみる
③夏競馬を得意としている騎手を探す
①馬のコンディションを重視する
夏競馬では馬のコンディションがより重要となってきます。
なぜなら、夏の過酷な暑さや地方への長距離輸送によって、調子を保つのが難しくなるからです。
調教の走り、パドックで発汗、輸送による馬体重の減少といった要素から馬の状態を見極めましょう。
また、夏競馬ではレース間隔が詰まっていると成績が下降する傾向にあるので、なるべく余裕のあるローテーションで出走している馬を狙ってみてください。
②牝馬を積極的に買ってみる
夏競馬では、牝馬を積極的に馬券に絡めてみるのもおすすめです。
牡馬よりも成績が上回るということではありませんが、牝馬単体の成績でみると、夏場に成績が向上する馬が多いようです。
夏競馬で牝馬の成績が良くなるのは、以下のような理由があります。
- 体格が小さいため夏場の軽い調教でも仕上がる
- ダート戦が少なくなる
- コースにきつい上り坂が少ない
牝馬は特に短距離の芝で強い傾向にあり、新潟1000m重賞のアイビスサマーダッシュで勝ち馬がよく見られます。
2013年〜2022年の過去10年で牝馬が6勝しており、馬券内だけでいうと30頭中17頭と半分以上を占めているのです。
したがって、短距離の芝では牝馬を積極的に買ってみるといいでしょう。
③夏競馬を得意としている騎手を探す
夏競馬を得意としている騎手を探して、買ってみるのもおすすめです。
どの競馬場を得意としているかを確認することで、好結果へとつながることでしょう。
丹内騎手はローカル開催の芝を得意としており、狙えるジョッキーといえます。2022年は自身のキャリアハイとなる64勝を挙げ、夏の北海道シリーズで22勝を記録しました。
2022年8月21日に開催された2歳のクローバー賞では、地方所属で8番人気単勝オッズ78.4倍のジョリダムで勝利するなど、荒れる夏競馬にふさわしい活躍をしてくれます。
このような穴馬に乗ったときの丹内騎手は、特に注目するべきだといえるでしょう。
まとめ
今回は夏競馬の特徴や使用されるコースについて詳しく解説してきました。
夏競馬は、実力馬が休息期間に入ることから出走馬の力が近くなり、荒れるレースが多くなるのが特徴です。
当てるのが難しいですが、その分的中時のリターンが大きく、万馬券を狙いやすくなります。また、ローカル競馬場がメインとなり、サマーシリーズがあるなど、夏競馬ならではの楽しみ方があります。
競馬場の特性を理解し、馬券的中を目指しながら夏競馬シーズンを堪能していきましょう!